いい情報を見つけたので引用したいな…、でもトラブルは避けたいから使わない方がいいかな?
5つあるルールを守れば、情報の引用に問題はないよ!
インターネットで情報発信をするなら、トラブルを避けつつ、よりよい情報を提供しなければいけません。
その際、他社の著作物をどう扱うべきかといった引用の問題が気になるシーンもあるでしょう。
結論は、ルールを守った引用ならまったく問題はありません。
一方で、引用のつもりが著作権の侵害になっているようであれば、大きな問題に発展する恐れもあります。
問題を避けつつ、情報をより良くする。そんな一石二鳥の「引用」をマスターするための情報をまとめました。
ぜひ最後までご覧ください。
ルールを守れば情報の引用はしてもいい
ルールをきちんと守れば、他のメディアで公開されている情報を引用する行為は法律で許されています。
以下は、著作権法では第三十二条の1項の文です。
第三十二条 公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。
著作権法(明治三十二年法律第三十九号)
わかりやすく一言にまとめると「人の著作物は引用してもいいよ、まぁでも正当な範囲内にしてね」ってことです。
「引用して利用することができる」ってバッチリ書いてあるね。
ありがたいよね。あとはどこまでが引用と呼べる範囲なのかをちゃんと知っておこう。
ここから先は、引用として正当な範囲に収めるための5つのルールを解説します。
情報の引用は記事をより良いものにしてくれるので、きちんとルールを守って積極的に取り入れていきましょう。
引用の際に守るべき5つのルール
他メディアで公開されている情報などの著作物を引用する際、引用といえるか著作権の侵害となるかは非常に重要なポイントです。
正当な範囲内で引用するためのルールを確認しておきましょう。
引用において守るべきルールは、次の5つです。
- 一般に公表されている情報であること
- 引用文と本文を区別し、補足情報に止めること
- 引用の正当な理由があること
- 出典元を明記すること
- 引用部分を改変しないこと
それぞれ、それほど難しくも厳しくもないので、この機会にチェックしておくとよいでしょう。
1. 一般に公表されている情報であること
一般に公表されている情報であることは、引用におけるルールの大事なポイントです。
著作権法四条の1項では、著作物の公表について次のように書かれています。
第四条 著作物は、発行され、又は第二十二条から第二十五条までに規定する権利を有する者若しくはその許諾(第六十三条第一項の規定による利用の許諾をいう。)を得た者若しくは第七十九条の出版権の設定を受けた者若しくはその公衆送信許諾(第八十条第三項の規定による公衆送信の許諾をいう。以下同じ。)を得た者によつて上演、演奏、上映、公衆送信、口述若しくは展示の方法で公衆に提示された場合(建築の著作物にあつては、第二十一条に規定する権利を有する者又はその許諾(第六十三条第一項の規定による利用の許諾をいう。)を得た者によつて建設された場合を含む。)において、公表されたものとする。
著作権法(明治三十二年法律第三十九号)
ざっくり要約すると、みんなが見られる状態になっているなら公表されている情報だと考えてOKです。
そうすると書籍とかYouTubeとか、かなり多くの情報から引用はできるんだね。
逆に言えば、個人的にもらったDMやLINEは公表された情報とは言えないため、引用を主張することはできないよ!
一般公開されている情報から引用するようにしましょう。
2. 引用文と本文を区別し、補足情報にとどめること
引用に関する2つ目のルールは、引用する情報量を「引用」と呼べる範囲内にとどめることです。
自分で判断するには、次の2つの視点でチェックするとよいでしょう。
引用と認められる範囲については、著作権法に明記されていません。過去の判例から判断するしかありませんが、上記2つを守っていれば大丈夫です。
引用の定義が法律に明記されていないって、なんだか怖いなぁ……。
最終的にはマナーの問題だね。引用元にとっても気持ちのいい情報の取り扱いを心がけよう。
3. 引用の正当な理由があること
著作物を引用するなら、正当な理由がなければいけません。
引用はしすぎず、適切な量に止めましょう。
正当な範囲って、いったいどこからどこまでなんだ…?
過去の判例の資料によれば「社会通念に照らして合理的な範囲内のものであること。」らしい。一般常識から考えて判断するってことだね。
著作権者や著作物に与える影響の規模や程度も総合的に考えて、正当な理由のもとで引用するようにしましょう。(参照元:―『沖縄 うりずんの雨』事件―)
4. 出典元を明記すること
文章や画像を引用するなら、出典元を明記する必要があります。
Webサイトからの引用であればタイトルとURLを、書籍であれば著者名や署名、出版社名は明記しておきたいところです。
出典元の明記については、絶対必要な要件ではないという見解もあります。でも明記している方がトラブルは回避できるでしょう。
逆の立場だったら、情報を引用するのは構わないけれど、ちゃんと参照元として明記してほしいもんね。
相手の立場で考える習慣は大事だね。明確な線引きがない以上、相手とトラブルにならないように最大限工夫しよう。
引用元の相手に敬意を払い、出典元をしっかり明記することをおすすめします。
出典元を明記してサイトの外部にリンクを貼る行為は、SEOにもよい効果を与える可能性があります。
発リンクがもたらす効果やポイントについては、関連記事『発リンクとは?内部リンク・外部リンクのSEO効果と3つのポイントを解説』をご覧ください。
5. 引用部分を改変しないこと
引用についての最後のルールは、引用するなら元の文章や画像を勝手に変えてはいけないということです。
著作権の中には「同一性保持権」があるためです。
第二十条 著作者は、その著作物及びその題号の同一性を保持する権利を有し、その意に反してこれらの変更、切除その他の改変を受けないものとする。
著作権法(明治三十二年法律第三十九号)
一言で言えば「著作物が勝手に変更されたり切り取られたりしたら怒っていいよ。」という権利です。
他社の著作物を引用する場合は、同一性保持権を侵害しないように文章や画像をそのまま使うようにしましょう。
【まとめ】引用は、ルールを守って行おう
ルールを守ってさえいれば、著作物は引用して利用していい。と法律でも決まっています。
ルールやその真意を理解して、情報を有効活用しましょう。
引用についてもっと詳しく知りたくなったら『クリエイターのための権利の本』がわかりやすくておすすめです。
クリエイターならではの「これって大丈夫かな?」というシーンに合わせて内容が書かれているので、実務に近い状況から知識を深めることができます。
自分自身はもちろん、引用元や関係者にとっても気持ちのいい引用をするため、ルールを守って情報発信を続けていきましょう。
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